第22回北海道ショパン学生ピアノコンクールに参加された皆様へ
 
植田克己先生 表彰式における講評

 本日は朝から今までの時間まで、多くの方々の熱演を聴きました。4月の予選を経て今日まで、また新たな勉強を続けられたその成果を、
十分に受け取ることができました。
演奏して下さった皆さんには御礼を申し上げたいと思います。先ほど審査員室で先生方に、この場でどういうことを言ったらいいだろうかと
お聞きして、私の考えも混ぜて少しお話をさせていただこうと思います。

 どの先生も皆さんがよく頑張っていたということを褒めていらっしゃいました。まだ春休みが終わったばかり、中には進学して学校が変わ
ったばかりの時期という方もいらっしゃるかと思いますが、春休みの期間、GWの期間を経て皆さんが一生懸命勉強なさっている様子に私た
ちは特に注目しました。小学3・4年生の部門、それから一般の部門は今回初めて行われたと聞いております。それについても参加する意思
を示してくださった方々にも感謝をしたいと思います。

 小学3・4年生の課題曲を考えるにあたって、例えば後々ショパンを勉強するときに必ずついて回るのがバッハなのですね。
ショパンの勉強ぶりというのはわずか39年の生涯を通して決して長い時間ではなかったのですが、その間にも、本当に命を刻むような勉強
をしていました。若い時からバッハに傾倒していたショパン自身も、最後にたどり着いたのはバッハといってもいいぐらいなのですが、
小学3・4年生に対してもバッハを勉強していただきたいとの思いが、今回の出題の意図でありました。それもよく皆さん頑張ってやってい
たと思います。

 アドバイスとして、全部門を通して左手の伴奏の音型にも練習の時から注意して接していただきたいなと感じました。
左手を美しくすることで、右手がより豊かになると信じて取り組んでもらいたいと思います。それから私が特に感じたことは、長い音の
響きの美しさとか、ハーモニーの美しさを、一回立ち止まって耳で捉えていただけたらもっと素敵だろうなと思う演奏がたくさんあった
ことです。
長い音が小節をまたいでタイになっている部分、一拍目に音を出さないでタイをかけてさらに美しさに磨きをかけている表現が楽曲の中に
たくさんあります。そういうことにも注意をしてくれるといいなと思いました。また、左手の大切さもお伝えしましたが、ショパンは段々
に作曲技法が変わっていって、ショパン自身も変化をして成長していき、非常に緻密な対位法を用いていくようになります。特に後期の作
品についてですね
 対位法はソプラノ、バス、内声があり、それらがずっと揺れ動いて変化していくのですけど、その美しさにもぜひ注目していただきたい
と思いました。

 小学生、中学生の若いころに思い切って演奏をする良さというのが、高校・大学にむかって自分自身が年齢を経ていく、経験を積んでい
く中でそれがどういう風に変化していくのかというところも、練習しながら自分を見つめるような演奏がもっともっと多いと良いという声
もありました。

 また、早いパッセージはどうしても難しいし、特にショパンは複雑な音型を書いているので、そこを一生懸命に勉強するのはその通りな
のですが、それ以外のリズムであるとか、長い音であるとか、左右のバランスであるとか、それから楽器から美しい音を引き出すというこ
となどを、普段の練習から積み重ねていただけると、もっともっと素敵なショパンになるでしょう。
皆さんの将来を期待したいと思います。

 私から今日お伝えすることはそれぐらいでしょうか。
今回参加して下さった、、今日弾いた方も弾いていない方もさらにショパンが好きになって、ショパンの音楽の美しさを自分で楽しめるよ
うに。そういう時間をどうか大切にしてください。
ご清聴をありがとうございました。

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